2010年06月26日 11:24

週刊アスキーに載っていたので

今週も読めたラノベは1冊だけ。
なんか、このところペース落ちているな。

■なれる!SE 2週間でわかる?SE入門
DSC052270001
著:夏海公司(なつみこうじ)
イラスト:ixy(イクシー)
レーベル:電撃文庫

表紙の女の子は、先輩社員で年齢不詳の室見立華。
手に持っているのはコンソールケーブル、通称きしめんケーブルか。
PCの前に置いてある携帯みたいなのはなんだろう?ケーブルテスター?
てこれか<DTXケーブルアナライザー>
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このテスター、シリーズ幾つかあるみたいだけど、下位機種でもリッタークラスのバイクが買える値段。
業務用テスターってほんと高い。



就活に失敗した主人公、桜坂工兵が「このままでは就職浪人か」と焦って就職した先はブラック会社でした、というお話。

『社会人が主人公』というのはラノベでは珍しいが、ブラック会社を題材にしたネタというか話題はよくネット上に転がっているし、さほど目新しさはないかな。
ラノベ故にそんなに悲惨さ、悲愴感もないし。

自分はIT系の人間ではないので本編のシステムチックな話には共感を持てないが、主人公の工兵が就活しているあたりの話は凄く共感できた。
むしろ読んでいて胸が痛かった。自分も苦労したクチだからな。

この手のSE、ブラック会社を題材にしたものといえばプログラマがメインストリームだけど、本作はネットワークエンジニアが主人公というのも魅かれた一要素。
コーディングの話をされてもチンプンカンプンだけど、ネットワークなら少しは食いつけるんじゃないかなと思った。
でもやっぱ駄目だった。素人のレベルでは結局何を言っているかわかんね。ラスト近辺の、「ファームのバージョン違いのせいでACLが上手く動作しなかった」とか、そんなことあるの?
あるんだろうな、きっと。そのあたりは作者本人か、作者の知り合いの実体験に基づいているんだろう、きっと。

んで、この作者の夏海公司さんて元SEさんなんだそうだ。
でも後書きを読むと、ネットワーク系ではなくアプリ開発をやっていたっぽいんだけど。それで何故ネットワークに詳しいんだろう?
凄いな。

凄いといえば、主人公の工兵くんも凄い。
やる気を出した途端、一晩徹夜しただけでシスコルーターのconfigをほぼ理解とか、ハンパない。
当然configの意味を理解しただけでなく、構築すべきネットワーク構成はどんなものか、ネットワーク要件は何なのかを理解しないと投入configは作れないハズなのだが、その辺りは『物語だから』で流すべきなのかな。

なんつかーか、この作品「社会人視点」で読むと凄く面白いんだよな。
結構な厚さのある本なんだけど、頁をめくる手が止まらずあっという間に読んでしまった。
ラノベのメインターゲットは十代の少年少女だろうけど、この作品は社会人が読んで面白い。むしろ社会人が読まないと面白さの8割は理解できないと思う。
例えば、主人公の就職した「スルガシステム」は従業員30数名の規模の会社なのに、主人公の所属する部署とは別にアプリ開発をやっている部署があったり、自社内にサーバールームとラボ環境があったりとか、会社の総務とは別に、部署に1人事務方の専任者が居たりとか、結構ちゃんとしているな~と思ったり。
得意先の一つの証券会社は自前でデーターセンターを持っている規模の会社なのに、情報システム部門の担当がてんでいい加減だったりとか、「あり得ねぇ!まして安定稼働第一の金融系でその杜撰な移行計画とか絶対あり得ねぇ!」とかそんなツッコミしたりとか。
その辺り、実際に企業で働いたことのある人間でないと想像しにくいよな。あとコピーのとりかたの「4アップ」とか。
「ググれ」は言った事も言われたこともある。

イラストは若干残念な感じだが、スーツ姿の室見さんだけは好き。
DSC052320002
見た目が子供にしか見えない、先輩社員の室見さん。
「実は中卒で働いていて、本当にまだ十代」というオチを予想していたんだけど、大手SIerで働いていた過去があるっぽいので、その線は消えた。
基本「意味のない設定」が好きになれない自分だけど、室見さんの『子供の様な容姿』については、「客先に要件吸い上げに行ったところ、見た目の為に先方の担当者に信用されず悔しい思いをした」というエピソードがあるので、一応作品内で活かされているとしましょう。
つか、こんな美少女な先輩とラボで二人っきりで作業したりとか、美少女な先輩と二人っきりで残業したりとか、美少女な先輩と二人で客先に納入しにお出かけできるなら、DQN会社でも喜んで入りますよ、自分は。

最後に用語説明だけど、「OJT」みたいなどの業界でも使っているような用語の説明よりも「ACL」「CDP」の説明の方が必要なんじゃないかと思った。
どちらもネットワークをかじった事のある人じゃないと知らないと思う。
浅い知識しかないので間違っているかもだけど、自分の理解だとこんな感じ。
・ACL(Access Control List)
  パケットフィルターや、ルーティングフィルターをするもの

・CDP(Cisco Discovery Protocol)
  シスコ独自プロトコルで、シスコ製ネイバー機器のホスト名、接続インターフェースがわかる
  セキュリティの観点から、CDPをOFFにする場合も多い
PING(ピン)の説明は作中にあったかな?まあPINGくらいは誰でも普通に使っているか。

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